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こころの科学139号 - 2008.06.25 Wed

080625_0606~01

でる度に毎回買う雑誌、こころの科学。 もう次の号が出るところだと思いますが、前号について感想を書いておきます。

今回の話題は『数字で知るこころの問題』という事で、精神医学をいろいろな統計的エビデンスから語っています。
特に面白かったところは、アルコール依存症についての話題です。
アルコール依存の治療に関しては、依存症について理解をしてもらう教育プログラム、依存症者のグループを形成してミーティングを行う集団精神療法、家族に理解を深めてもらう家族心理教育、断酒会やAAなどの自助グループ、抗酒剤の服用、体力強化を目的とするリハビリテーションなどたくさんの治療内容があります。
しかし、このような治療内容と予後の関係については、入院中に関しては、はっきりとした相関はないという話題がありました。
入院中のプログラムの数や参加回数と転帰には相関はなく、一方、退院後の自助グループへの参加と転帰には相関がみられたという話でした。

これは非常に面白いと思いました。アルコール依存症患者に関しては、病院内での治療態度と退院後の予後とは関係がないということなのです。

だけど、これはアルコール依存症に限った話ではないのではないでしょうか。
Anthonyは『精神障害者がある種の環境で機能する能力は、他の種類の環境で機能する能力にあまり関係しない』と言っています。
病院内での治療と退院後の予後とは、アルコール依存症に限らず、精神障害者にはあまり関係ないのではないでしょうか。
私も現場で働きながら、このようなことをうすうすと感じていました。
病院で模範的な患者で、先生ともよく話が出来ている様子で、OTにも沢山参加して、という人が再入院を繰り返しているようなこともよくあったりします。

では、病院内で行う作業療法は、退院後の予後にあまり関係しないのであれば、まったく意味がないものなのでしょうか?

私は、そんなことはないと思っています。

病院で出来ることは、病院内での治療に役立つのではないでしょうか。病院内での作業療法は、退院後に役立つかどうかはわからないけど、入院中の治療を進める手助けになるように思います。

入院中の事は、入院中に支援するべきであるし、退院後の事は通院治療しながら退院後に支援するべきものなのだと思います。

入院中から退院後の事をあれこれ考えてああだこうだ言うのはほんとはあまりよくないのかもしれません。
入院中に出来ることは精神症状を悪くせず、いかにスムーズに退院するまでサポートするかに力を注ぐということあり、あとはまず退院をしていただいて、退院後の通院治療でとにかく支える事が大切なのかなと思います。

精神科OTの世界では、リアルオキュペーションという言葉があります。
これは、現実の場面で行われるリアルな作業っていうような意味です。

例えば調理の例をだします。
調理ができるようになることを目的として行うのであれば、病院内で行う調理はリアルオキュペーションではなく、自宅で行う調理はリアルオキュペーションであるといった感じです。

つまり病院内でいくら調理が出来るようになったからといって、家に帰って調理できるようになっているとは限らないと言うことです。

家で調理ができるようにするならば、実際に家まで行って一緒に練習する。
それがリアルオキュペーションだといったような感じです。

環境が変わると身につけたスキルが発揮できるかどうかはわからないということなのです。


こう考えていくと、OTで退院後役立つことを目標に考えると、入院中に出来ることでリアルオキュペーションといえるような本当に役立つことは少ないように思えてしまいます。

だからこそ、入院中の事は、入院中に支援するべきであるし、退院後の事は通院治療しながら退院後に支援するべきものなのだと思います。

入院中に役立つOTというは、入院生活に本当に役立つ作業を支援することなのではないでしょうか。
それが入院中のリアルオキュペーションなのではないかと最近考えています。

私が思う、入院中のリアルオキュペーションというのは、医師との問診です。
医師との問診をいかにうまく、スムーズにいくように支援できるか、それがOTの仕事になりえるのではないかと思います。

医師に自分の病状をうまく伝えられない、退院がいつになるのうまく聞けない、自分の病状についてうまく聞き出せない、薬の相談がうまくできない。
私は、そのようなことに悩んでいる患者さんに出会う事が多々あります。
最終的に退院を判断するのは医師ですし、医師との問診がスムーズにいくこと、患者さんが変に医師に不信感をいだかない事などは治療を早めるのではないかとよく思います。

医師との問診は、退院を早める上で大切な”作業”の1つではないでしょうか。
私は、SSTで医師の問診を練習したり、心理教育のプログラムで医師とうまく話すコツについてみんなでミーティングした事も多々ありますし、個別に面接で相談に乗ったこともあります。
その結果『うまく先生と話す事が出来るようになった』と笑顔で話される患者さんもいました。
このような事が入院中に出来るリアルオキュペーションなのかもしれないなと最近は考えています。

他にも支援の仕方はいろいろあるかもしれません。まあこれも、ホントにリアルな場面で練習しようとするならば、実際の問診の場面にOTも同席してって事になるのかもしれませんが、OTがいる問診という環境なら話せるけど、OTがいない問診なら話せないという事になるのかもしれませんし、
どういう支援が本当にいいのかわかりません。模索中です。

ちなみに次に大切な作業は『家族との面会や家族への電話などの連絡』かもしれません。家族との面会や家族との関係は、家族が退院をOKするかどうかに深く関わっているような気がします。
これに関してはまだ具体的な支援の方法はまだわかりません。
個別に相談があったときに乗るぐらいしか思いつきません。

話が長くなりましたが、そんな感じのことを考えた今月号でした。

● COMMENT ●

こんばんは、しゅ~です。

初コメントです、緊張します、・・・なんちゃって。

 自分は授業で精神に障害を抱えた方(特に統合失調症の方)は高次脳機能障害と似た症状を呈すると教わりました。特に印象に残ったコトは、working memoryの障害に似ているみたいなコトを言ってたコトです。その場にそぐわない言動・見通しが立てれないなどがworking memoryの障害で現れるそうです。これって、統合失調症の方にも現れる症状ですよね、確か・・・?

 基本的に高次脳機能障害のリハビリテーションはADLに汎化しにくいようです。まさにぱきらさんのこの日記と同じなような感じを受けます。つまり、入院中でも退院後でも、1場面1場面を習慣化するように支援していかないといけないかと・・・。

 Real Occupation・・・確かにクライエントさんにとっては病院であっても、実家であっても、どこであっても、生活の場がそこなので、常に活きた作業を提供するのがベストなんでしょうね!?(自信ありませんが・・・)

 ん~、何だかワケのわからない感じになってしまって、スイマセンm(. .)m 

 それでは、失礼します。

なるほどですね~

>病院内でいくら調理が出来るようになったからといって、家に帰って調理できるようになっているとは限らないと言うことです

これは本当にそうですね~!日々実感します。
先月でしたっけ?先先月でしたっけ?作業療法の巻頭語で誰かの先生が「OTは人形浄瑠璃の(?)黒子であってはだめ、ピノキオのゼペットじいさんでないと」みたいな感じの事言ってましたよね?
本当にそうだなーって思います。
なんかぱきらさんの日記の内容とずれるかもしれませんが・・・。
自分達がいる状況で出来るようになっても意味がないんですよね~。
もしやるなら、いない状況でもできる為の種を植えるという事ですよね。それって色々あるんだと思いますけど。

リアルオキュペーションか~、勉強になりました!

さすが、ぱきらさん面白いこといいますねぇ・・

 基本的にはセラピストというのは、入院後の生活にいかに般化していくかという視点でみるわけで・・(般化の呪いかもしれません・・)

 このデータを見ると、じゃあもっと退院後につながるために、どうしたらいいのかみたいな考えになりがちですが・・

 そうではなく、「病院」という社会の中での退院に向けた対処スキルに着眼するのは面白いですねぇ・・

 シンショウの私で考えれば、以前は退院前の家屋調査で気張って、そこで全ての指導や環境調整をやってしまおうと思ってましたが、帰って生活してみないとわからないことも多いわけで、介護保険サービスでフォローしながら在宅生活を考えていく方が良いのではと思います。

 脳卒中では相澤病院が、早期退院であとは訪問リハで・・みたいなので有名ですねぇ・・

 しかし考え直せば、運動機能の観点から入浴や床からの立ち上がり等のシュミレーションをいつもしている私ですが・・実際の生活ではいったいどんな因子が生活を決めるのかもっと知りたいですねぇ・・

 ある程度運動能力があってもやり方を変える場合もあるでしょうし、その逆も・・・やっぱり訪問かなぁ・・・

しゅ~さん>初コメントありがとうございます。統合失調症の患者さんは多かれ少なかれ認知障害があるといわれてますからね。高次脳機能障害に似た感じなのでしょうね。

活きた作業ってのはいいですね。何をやっても結局”病院”という一つの枠組みの中で行われていることだということは常に忘れないようにすることは大切だなと常に思います。

どんな環境で作業が行われているのかという事は実はかなり大切なことだと思います。
環境の評価というのは学校ではあまり行われないですが、OTはもっと環境に目を向けていくべきなのではないかと思います。

chaOTさん>コメントありがとうございます。先月号でした。確かにそんなことが書いてありますね。
先月号の巻頭言では、対象者の主体性に注目して、主体性を引き出す支援として、このような事を書いているみたいですね。
確かに主体性を引き出すという意味でも、病院というのはなかなか難しい環境ですよね。
どうしても可干渉になることもありますし、生活そのものにモチベーションを上げられないような気がします。

でも、ここで言いたいのは、病院内で可干渉気味に保護を受ける生活だからといって、手厚く保護される事のない退院した後の環境で、うまくいかないというわけではないということです。

病院内で出来ないことだからといって、退院してもできないとは限らないという事もあります。
院内のOTで30分もじっとしていられなかった人が、退院したらしっかりと5~6時間の労働に耐えて職についていたり、といったこともあります。


どんなことも”やってみないとわからない!”といった感じでしょうか。。。

OTサンシャインさん>コメントありがとうございます。

入院後の生活にいかに般化していくかという視点でみるというのはまさにリハビリの視点っていう感じですよね。
ボクもリアルオキュペーションとかトップダウンアプローチとかそのような物を知るまでは、常にそのように考えていました。

だけど、結局汎化させることにこだわっても、汎化できたかどうかあまり判断出来ない事に気づいてからあまりそのようなやり方に魅力がもてなくなりました。

結局、患者さんはOT以外の時間もたくさんの刺激を受けている訳で、それがいったいどのように作用しているのかわからないと思うわけです。

早期退院であとは訪問リハというのは非常におもしろいですね。精神科の分野でもそのようなやり方がもっと広まってもよいのではないかと思います。

病院で仕事をしていると、患者さん実際の生活とは距離を感じて、チマチマ感を感じて、ついつち『やっぱりOTは地域に出ないと使い物にならない。』とか『やっぱOTは訪問しないと本来の持ち味を活かせない。』とかそんな事を感じてしまいがちですが、
そんな中で病院内で何か出来ることはないだろうか?と日々悩み格闘している毎日です。

こういうリアルオキュペーションとかトップダウンアプローチの発想は精神科だけのものかと思っていましたが、身障の方でも何か通ずるものがあるのですね。面白くコメントを読ませてもらいました。

そっかそっか

どんな事もやてみないとわからない。。。
本当そうかもしれないですね!!

病院の中であーでもない、こーでもないってしますけど
退院する時、結局何したんだろう?って事はありますし。
逆に、この人は良かったって事もありますし。
その違いがなんだったのかわかればいんでしょうねきっと!

私も医学的治療が終わったらENTして訪問には賛成です!
社会のあり方もかえられる様な気がしますよね~。難しいですけどね。

chaOTさん>そうですね。最近ほんとに病院の中であーでもない、こーでもないとかいっても、ホントにそれはただの想像でしかないなってことをよく思います。

『あの患者さんはあれでは、退院してもうまくいかないじゃないか』とか、セラピスト同士で、よく話題になることがありますが、結構退院してみないとわからないもんだなってこなことを思います。
実際退院していただいて、生活していただかないとわからないことばかりです。

社会のあり方も変わるといいんでしょうね。


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Author:ぱきら (杉長彬)
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